かくのごとく、我思えり

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法学(法律学科)と政治学(政治学科)は違いは何か?

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はじめに

 

多くの大学の法学部では、学ぶ内容を二つに大別することができます。それが法学と政治学です。法学部のなかに法律学科と政治学科があり、入学前にどちらに入るかを選ばなければならないという大学も少なくないでしょう。しかし、「ただでさえ受験勉強で忙しいのに、法律とか政治学とか言われても訳が分からないよ」という人もいると思います。

 

そこでこの記事では、法律学科と政治学科の違いを、学習内容や進路などの点から比較します。

 

 

法学(法律学科)とは?

 

法律学科では、法律をどのように運用すべきか、そしてそもそも法律がどうやってできたのかといったことを学びます。大学の授業名で言うと、憲法・民法・行政法などの授業では法律の概要・運用について学び、日本法制史・ローマ法史などの授業では法律の歴史について学びます。多くの法律学科では、法の歴史よりも法律の概要や運用について集中的に勉強します

 

例として、刑法の正当防衛について見てみます。

 

刑法36条1項は、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」としています。刑法の授業では、そもそもなぜ正当防衛の規定があるのか、どのような行為が正当防衛になるのか(「急迫不正の侵害」、「自己又は他人の権利を防衛する」、「やむを得ずにした行為」とはそれぞれ何を意味するのか)、防衛するためとは言え相手を過剰に攻撃してしまった場合はどうなるのかといったことを学びます

 

その際に参考にするのが判例や学説です。上で示したようなことについては、法学を研究している学者が様々な見解を示しています。法学を勉強する際には、学説を見ることを通して法律に対する理解を深めようとします。

 

一方、判例とは具体的な事件に際して裁判所が示した判断のことです。正当防衛の例で言えば、裁判所がどのような事件で正当防衛を認め、どのような事件では認めなかったかは、学習する上でチェックすべきポイントです。

 

 

政治学(政治学科)とは?

 

政治学科では、現代社会の問題を見たうえで、それを政治がどう解決していくかを学びます。他方で、人間は古くから政治を行ってきており、その過程でたくさんの政治理論が唱えられました。政治史や政治理論についての学習も政治学科ですることができます。大学の授業名で言うと、比較政治学・国際政治学・アメリカ政治・政治原論・政治史などを学びます。

 

法学と比べると、政治学は高校公民に近いかもしれません。それでも公民とはかなり違うこともしますけどね。

 

 

法学と政治学の違いは?

 

学問としての法学と政治学のざっくりとした違いは、ある問題が存在するときに、法学は現在存在する法律を用いて解決しようとするのに対して、政治学は既存の仕組みの正しさを疑い、場合によっては仕組みを変えようとすることだと思います。

 

もちろん法学分野でも、既存の法律を変えることについて考えることもあります。その証拠に、国会での議論に法学者を呼び、その意見を参考にすることがよくあります。ただ、学部生が学習をする際は、今ある法律を用いて問題解決をすることが基本になります。

 

もっとも、法学と政治学には似通っているところも多くあります。民法や刑法などの実定法学は法律学科独自と言えそうですが、法の歴史を学んだり外国と法を比較したりする基礎法学には、政治学的な要素が多分に含まれています。というのも、法の歴史を知るには当時の社会や政治を知ることは必要不可欠ですし、外国の法を知るためには、その国の政治を知っていなければならないからです。逆に、政治学の学習に法学が無関係ということもないでしょう。法学と政治学の違いにあまりこだわり過ぎる必要もないと思います。

 

次に、学科としての法律学科と政治学科の違いを考えます。

 

まず挙げられるのが大学での試験の難易度です。一般的に、政治学科より法律学科の試験の方が難しいです。さらに言えば、多くの大学において法学部(法律学科)の試験が文系学部で最も難しいです。それに対し、政治学科の試験の難易度は他の文系学部と同程度であることが普通です。

 

他方で、資格取得や公務員試験を考えているなら法律学科がおすすめです。司法試験や司法書士など、法律に関わる資格は多いです。それらの試験の内容と法律学科で学ぶ内容は重複する部分が多いため、法学部での勉強は資格取得に有利に働きます。また、公務員試験でも法律の問題が多く出題されます。

 

今は参考書や資格予備校があるので、政治学科に入ったからといって資格取得や公務員試験合格が不可能というわけではもちろんありません。ただ、法律学科の学生が有利なのは確かでしょう。

 

 

政治学科は法学部にあるとは限らない

 

政治学科に入りたい人は注意が必要です。というのも、大学によって政治学科の扱いはかなり異なるからです。

 

現在の日本には、政治学部を設置している大学はありません。よって、政治学を学びたい人は、基本的に法学部政治学科に入ることになります

 

しかし、なかには政治学科を法学部以外の学部に置いている大学もあります。その最たる例が早稲田大学です。早稲田大学では、政治学科は政経学部に設置されています。さらに、政治学科とは別に国際政治経済学科もあることに注意が必要でしょう。

 

また、明確に「政治学科」を設置していない大学もあります。例えば、東京大学の法学部は学科に分かれていません。その代わり、東大法学部は第1類から第3類に分かれており、第3類が政治コースになっています。

 

また、そのようなコースすらない大学もあります。京都大学法学部は、学科はもちろんコースすら設置されていません。法学を学びたい学生も政治学を学びたい学生も一緒くたにされています。そのため、政治学を中心的に学びたい学生も、一定程度は法学を勉強しなければなりません。政治学をしっかりやりたい学生にとっては、もしかしたら不満かもしれません。

 

このように、大学によって政治学(科)の扱い方は異なります。政治学を学びたい人は、ぜひ自分の入りたい大学で政治学を学ぶにはどうすればよいのかを調べてみてください

 

 

最後に

 

以上、法学(法律学科)と政治学(政治学科)の違いを比べてみました。以下がそのまとめです。

 

法学

〇実定法学(憲法・刑法・民法など)を中心に学びつつ、基礎法学(法制史・外国法との比較)も学ぶ

〇大学での試験が難しい

〇資格取得や公務員試験には有利

 

政治学

〇現代社会の問題の解決方法を考えるとともに、政治の理論や歴史も学ぶ

〇政治学の扱いは大学により違うので注意が必要

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が皆さんの進路選択に役立つことを願っています。