かくのごとく、我思えり

京大生が、本の感想や勉強のことを書いていきます。

読書感想文『カフェパウゼで法学を』

カフェパウゼで法学を/横田明美/弘文堂

 

たまには書評を書いてみます。書評はPV数(ページビュー数)がそんなに多くはありません。それゆえに最近は書評を書いていませんでした。しかし、本を読んだあとにその内容をアウトプットすることで読書の効果はより向上します。だから、これからは書評をちゃんと書いていくことにしました。

 

さて、今回読んだ本は『カフェパウゼで法学を』です。この本には主に法律の勉強を始める学生に向けて、大学生活を送るうえでのアドバイスが書かれています。著者の横田明美氏がブログで書いたものに手を加えて書籍化したのだそうです。

 

元がブログなだけあって、文体は平易で読みやすいです。各章の冒頭に先生と学生との対話形式の文章やイラストを挿れているのも読みやすくするための工夫でしょう。

 

内容もレポートの書き方、法学の勉強方法、ゼミのコツ、進路決定に関するアドバイスなど多岐にわたっており、充実しています。強いて言えば、法学部の授業のほとんどは試験一発勝負なので、講義を受けるうえでのアドバイスや試験勉強のコツをもう少し書いてくれたらうれしいと感じました。ただ、そこに細かく言及しすぎるとテクニック的な側面が強くなって大学での勉強の本質から外れてしまうのでしょうね…。勉強方法は結局のところ自分で試行錯誤しながら固めていくのが一番なのでしょう。

 

では、具体的な内容に関して「これは参考になる」と思ったと思った箇所を数個紹介します。

 

まずは、第Ⅰ部⑤で紹介されていた「トリガーリスト」です。本書p.31にこうあります。

 

<やることリスト>を書き出してみようとしても、すべての「やること」を漏れなく思い出すのにはけっこう時間がかかる。やることを思い出すためのきっかけをまとめた<トリガーリスト>を作ってみるとよいかもしれない。

 

つまり、「これを見ればやることを思い出すことができる」というリストを作っておくとよいということですね。

 

確かに、やることを思い出すのに時間がかかってしまうことはよくあります。そのうえ漏れなく思い出すことは難しく、何かをやっている途中に「あ、先にこれをやらなきゃ…」と思いだすこともしばしばあります。このようなことにならないためにも、トリガーリストを作るのはいいかもしれませんね。

 

そして、第Ⅱ部⑨に書かれていたメリット・デメリットの3条件は、論理的な思考をするためのツールとして非常に有用だと感じました。

 

メリットの3条件とは、内因性(何らかの問題があること)、重要性(その問題が深刻であること)、解決性(問題がその行動によって解決すること)の三つで、デメリットの3条件とは発生過程(論題の行動をとったときに、ほかの問題が発生してしまう過程)、深刻性(その問題が深刻であること)、固有性(現状ではそのような問題が生じていないこと)の三つです。

 

例えば、高校で部活をするメリットとして、部活をすることでメンタルが鍛えられ、その強靭なメンタルが受験でも役立つと主張する人がいるとします。このメリットに対する3条件を使った反論を考えると、「そもそも受験勉強でメンタルは問題になるか(内因性)」、「受験勉強にメンタルの強さが必要だとしても、それは重要な要素か?=部活で鍛えられるメンタルの強さは、部活に必要な労力・時間を上回るほど重要か?(重要性)」、「部活をすることでメンタルが鍛えられるのは本当か?(解決性)」ということになります。今回の場合では、重要性と解決性が反論として有効でしょう。

 

メリット・デメリットの3条件を意識することで、議論をする際に見落としを防ぐことができます。例えば、先ほどの部活の例を考えます。3条件を意識しないと、せっかく「そもそも部活はメンタルを鍛えるのか?」という反論ができるにもかかわらず、部活はメンタルを鍛えるという相手の主張をうのみにして「メンタルの強さは部活に必要な労力を上回るほど重要か?」という反論をしてしまう可能性があります。

 

メリット・デメリットの3条件はディベートをする際に用いられるツールですが、ディベートに限らず論理的な思考をするときにとても役立ちそうです。

 

第Ⅲ部⑪~⑬には、法学部で学ぶうえでの講義の受け方や試験に対処する方法などが分かりやすく書いています。法学部で学ぼうとしている人はぜひ読むべきです。特に、「鳥の目(全体をざっと見る)」「虫の目(特定の項目を仔細に見る)」という考え方は参考になりました。当たり前ですが、法学は基本書を1回読めば理解できるほど甘い学問ではないそうです。今後の法学の勉強を円滑に進めるためにも、憲法・刑法・民法の基本書は一度ざっと読んでみることにします(いつ読み終わるかな…)。

 

あと、第Ⅴ部㉒の専門性は相対的という話を読んで、ちょっと心が軽くなりました。大学生になったので進路を考えることが多いのですが、そのたびに「自分には優れているところなんてないし、今後どうすればいいんだろう…」と悩んでいました。でも、グループのなかで相対的に優れているなら、絶対的にはそんなにできることではなくても、その仕事を任されることがあると著者は説きます。もちろん実力を磨いていくことは大事ですが、絶対的な1番になろうと常に肩ひじを張る必要はないのだと思い、少し気が楽になりました

 

最後になりますが、本書は法学部の入学者におすすめできる本です。ぜひ一度読んでみてください。