かくのごとく、我思えり

京大生が、本の感想や勉強のことを書いていきます。

高校生は部活をするべきか? ~誰もが部活と勉強を両立できるという幻想~

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はじめに 

 

高校生活を送るうえで、部活に入るか入らないか、入るとしたらどの部活に入るかという選択は、高校生活の充実度を左右しうる重大な選択です。そんな部活の選択をするうえで、多くの人が気にするのは勉強との両立ではないでしょうか。特に、野球部、サッカー部、吹奏楽部といった練習がハードな部活動に入ろうとしている人のなかには、「こんなに練習が大変な部活に入っても大丈夫だろうか」と心配している人も多いでしょう。

 

僕の高校の同級生には、東京大学、京都大学、早稲田大学、九州大学といった難関大学に合格した人がいますが、練習が大変な部活に入りつつ現役で合格した人もいれば、部活には大して力を入れず勉強に専念していた人もいました。そして、現役では不合格だった人のなかにも両方のタイプの人がいました。ちなみに僕は受験には成功しましたが、部活はゆるいところに入って活動していたタイプです(笑)。

 

この記事では、自分が大学受験を経験し、かつ様々な受験生を見た経験を経て、部活動と勉強・大学受験の両立について考えていることを書いていきます。

 

※ゆるい部活と大学受験の勉強を両立させるのは容易です。この記事で考えるのは、活動時間が長く練習がハードな部活と大学受験の勉強との両立が可能かということです。

 

 

部活で精神力が向上し受験に役立つか

 

部活肯定派の主張でよくあるのが、「部活を通して精神力が養われ、それが受験勉強に役立った」というものです。しかし、僕はこの主張には懐疑的です

 

もし部活での精神力の向上が受験に役立つなら、野球部や吹奏楽部といったハードな部活に所属している人は、そうでない人に比べて受験の結果が良好なはずです。しかし、現実はそうなっていません。少なくとも僕のいた環境では、ハードな部活にいた人たちの成績がそうでない人たちに比べて特別優れているということはなかったように思います。

 

そもそも「部活と勉強の両立が可能か」という議論が出てくること自体、部活が受験の役に立つわけではないということを証明しています。もし部活での精神力の向上が受験で役立つなら、「高校では野球部やサッカー部に入りなさい。部活の練習がハードなほど、合格率が上がるのだから」という主張を塾業界も含め誰もがするはずだからです。

 

僕は「部活での精神力の向上が受験の役に立つ」というよりも「精神力が高い人が部活と勉強を両立できる」と言った方が正しいと考えます。つまり、因果関係が逆ということですね。

 

文武両道を奨励する高校の先生はしばしば、「部活を最後まで頑張れた生徒は受験でも成功している」と言います。これも、部活が精神力を向上させたのではなく、ハードな部活を最後まで頑張れるようなメンタルの強い生徒は受験でもメンタルの強さを発揮できるということだと思います。つまり、部活は受験の成否を占う試金石にはなっても、受験勉強を成功させることのできる魔法の道具にはなりえません

 

さらに、「部活を頑張ったが、引退後しばらくは勉強への切り替えができなかった」という声もしばしば聞きます。同じ「頑張る」といっても勉強を頑張ることと部活を頑張ることはまったく同じではありません。それゆえ、部活を頑張ることができたからといって、すぐに勉強を全力で頑張れるとは限りません。むしろ、部活での目的を見失ってしばらく無気力になることすら考えられます。これは、部活が受験勉強に与える悪影響と言っていいでしょう。

 

 

部活をすれば勉強時間は減る

 

部活をすれば勉強時間は減ります。そして、それは受験勉強には悪い影響を与えることはあっても良い影響を与えることはないでしょう。基本的に「勉強の成果=質×量」であり、勉強時間が減ることは量が減ることに直結するからです。

 

「でも、部活で勉強時間が減ったからこそ、限られた時間で集中して勉強できたっていう声も聞くし…」と思う方もいるかもしれません。確かにそのようなことができる人もいるかもしれません。ただ、他方で「ただでさえ部活で勉強時間が減っているのに、疲れていて勉強できず、よけい勉強時間が減った」ということも考えられます。部活に気力や体力を費やしたあとに、本当に集中して勉強ができるかよく考えたほうがいいでしょう。

 

さらに、部活の引退時期の問題もあります。高校の部活は、上位の大会に勝ち上がらなければ高校3年の5月ごろに引退します。しかし、勝ち上がっていくと引退はどんどん遅くなり、引退時期は夏頃になります。部活によっては、下手したら秋に引退なんてこともありえます。そうなると、現役で合格するということはかなり厳しくなります。もし部活に入る場合は、引退時期がいつごろになるかを調べておいた方がいいでしょう

 

 

一つの前提を踏まえ二つの尺度を用いよう

 

ここまで部活に否定的なことを書き連ねてきました。ですが、僕は部活を全否定したいわけではありません。部活には、青春時代の良い思い出になるなどのメリットも多くあります。そもそも、自分が部活をしたいのに、その気持ちを押し殺してしまえば、将来後悔することになるかもしれません。

 

結局決めるのはあなた自身なのですが、それを決める際には一つの前提を踏まえたうえで、二つの尺度を基準に決めるのが良いと思います

 

まず、前提というのは、ハードな部活は勉強に悪影響を与える可能性が高いということです。これまでさんざん書いてきたことですね。僕は部活をすることは悪いことだとは思いませんが、だからといって「部活を頑張れば受験勉強にも良い影響を与えるだろう」という希望的観測に基づいて決断してほしくはありません。実際のところ、部活は受験勉強の薬になるより毒になる可能性の方が高いので、決断の際にもそのような意識を持っておくべきです。

 

次に二つの尺度の話に移ります。一つ目の尺度は「自分の部活に対する思い入れ」です。もし、「中学でもこの競技をしていたし、高校でも同じ競技をしよう」くらいの軽い気持ちでハードな部活に入ろうとしているなら、それはやめておいた方がいいでしょう。他方で、「何が何でもこの競技をしたい」という理由があるなら、むしろ部活をした方がいいです。

 

そしてもう一つの尺度が「自分の今の実力と志望校の差」です。もしあなたが偏差値70の高校で上位3分の1くらいの成績をとれており、志望校が地方の旧帝大(北海道大・九州大など)なら、ハードな部活に入っても問題ないかもしれません。実力的に妥当な志望校だからです。もちろん油断せずに勉強も頑張ることは必要ですが。

 

逆に、「偏差値50の高校から東大に受かりたい」という野望を持っている場合、部活は諦めるしかないでしょう。現在の実力を考えると、相当無理をしないと東大合格は不可能だからです。ただ、もし浪人を許容できる場合は、自分の今の実力と志望校の差が多少あっても問題ないでしょう。それでも「偏差値50の高校から東大に受かりたい」という場合は部活を諦めるしかないでしょうが…。

 

部活に対する思い入れが大きくて自分の実力と志望校の差が小さい場合、あるいは部活に対する思い入れが小さい場合はスムーズに決断できるでしょう。前者ならハードな部活に入っても大丈夫でしょうし、逆に後者の場合は部活に入るべきではありません。

 

難しいのは、部活に対する思い入れが大きくて、かつ自分の実力と志望校の差が大きい場合です。これは、部活をとるか勉強をとるかを選び、もう一つを諦めるしかないと思います。こういった場合に部活と勉強を両立させるのはほぼ不可能といってよいからです。したがって、「将来志望する進路に進めなくても部活をする」か「部活を諦めて勉強に専念する」かを選びましょう。「部活と勉強は両立できる」と無責任に言う大人もいるかもしれませんが、その言葉をうのみにして部活と勉強のどちらも頑張ろうとして共倒れになったとき、大人たちは責任をとってくれません。最終的には自分で決めるしかないのです。

 

 

最後に

 

以上、僕の部活に対する考えをまとめてみました。部活をするか否かは高校生活を送るうえでかなり重要なファクターです。僕の意見が参考になればうれしいですが、最終的には自分で決断することが大切です。