かくのごとく、我思えり

京大生が、本の感想や勉強のことを書いていきます。

厳選! 高校生の朝読書におすすめの9冊

 

 

 

はじめに

 

今回は、高校生が朝読書で読むのにおすすめの本を紹介していきます。すらすら読めるエンタメ色の強い本から、いろいろと考えさせられる読みごたえのある本まで紹介します。

 

 

すらすら読める本

 

やはり俺の青春ラブコメは間違っている。

 

今、ライトノベルのなかでトップクラスの人気を誇っている作品です。ひねくれもの故友達のいない高校生・比企谷八幡は、生活指導の先生の命令でとある部活動に入ることになります。その部活動の名は「奉仕部」。同じく奉仕部の部員である二人の少女とともに、様々な人の悩みを解決する手助けをしていきます。そして八幡自身も人間関係に悩み、あがき、彼なりの答えを見つけようとします。

 

八幡はひねくれており、友達や恋愛というものに否定的な見方をします。ときには自分の周りの人間関係を欺瞞だと断言します。ですが、そうだとしたら「本物」とは何なのでしょうか。八幡はその「本物」を見つけようとします。

 

高校生の皆さんは、クラスや部活のなかで楽しく過ごし、友達とふざけあい、場合によっては恋人ができることもあるでしょう。その一方で、「自分が付き合っているのは本当の『友達』と言えるのだろうか」とか「世間は恋人を作れというが本当にそれが良いのだろうか」という疑問を持つ人もいると思います。そんな人にこそ、この本を読んで欲しいです。八幡の考えはあなたを刺激し、人間関係について考えるきっかけになるはずです。

 

~こんな人におすすめ~

〇人間関係に疑問や悩みがある

〇ライトノベルを読んで見たい

 

 

ゲームの達人

 

1982年に発表されたシドニィ・シェルダンの小説です。ある男とその娘がビジネスの世界で成り上がり、生き抜いていく様を描いた作品です。中学生におすすめの本としても紹介しましたが、高校生が読んでも十分面白いはずです。冒険や復讐など様々な要素が含まれており、あらゆる人が楽しんで読むことができます。

 

~こんな人におすすめ~

〇海外の小説にチャレンジしたい

〇展開の激しい小説を読みたい

 

 

蹴りたい背中

 

芥川賞受賞作です。著者の綿矢りささんは受賞当時19歳という若さだったため、大変注目を集めました。

 

長谷川初実は陸上部に所属する高校1年生。クラスになじめずにいました。そんな彼女が出会ったのがにな川という男子生徒。初実と同じくクラスの余り者で、とある人気モデルの大ファンです。やがて初実はにな川に興味を持つようになります。

 

高校生が主人公でありながら、青春小説とは対極に位置する雰囲気の作品です。高校生の感情、余り者の感情、そして思春期の女子の感情をとてもうまく描いていると思います。二人の男女を物語の中心に据えながら、ただの恋愛小説とは異なります。今までにないタイプの興味深い作品です。

 

~こんな人におすすめ~

〇ただの恋愛とは違う男女の関係を描いた作品が読みたい

〇芥川賞の作品がどんなものなのか知りたい

 

 

マネーロンダリング

 

香港在住のファイナンシャルアドバイザー・工藤のもとに麗子という美女が訪れます。彼女は脱税をしたいと言い、工藤は脱税のためのスキームを提案します。その数か月後、なんと彼女は五十億円もの金とともに行方をくらまします。工藤は麗子と五十億円の金の行方を追うべく行動を始めます。

 

この作品の最大の魅力は、著者の豊富な金融知識に基づいたストーリー展開です。著者の豊富な知識と緻密な分析に驚くとともに、先の見えないストーリーにどんどん引き込まれていきます。一度読み始めたらページをめくる手が止まらなくなります。

 

~こんな人におすすめ~

〇経済に興味がある

〇ミステリーやサスペンスが好き

 

 

読みごたえのある本

 

痴人の愛

 

耽美派の作家である谷崎潤一郎の代表作です。生真面目なサラリーマンの河合は、カフェでナオミという女性と知り合います。そして彼は「僕がこの娘を理想の女にして、自分の妻として迎えよう」と決意し、ナオミを引き取ります。河合はナオミに英語やダンスを覚えさせ、最初の方はナオミを理想の女にする道を順調に歩みます。しかし、やがて河合はナオミに翻弄されるようになってしまいます。

 

痴人(愚かな人)の愛というタイトルの通り、河合は愚かです。ですが、自分が同じ境遇に置かれたとき河合と同じ運命を歩まないかと言われると、多くの読者はそれを完全に否定することはできないと思います。ナオミは絶世の美女というほどではなく、性格も良くないのになぜここまでナオミに惹かれるのか。谷崎のエロティシズムが存分に発揮された名作です。

 

~こんな人におすすめ~

〇近代文学はあまり読んだことがない*1

〇サディズムやマゾヒズムに興味がある

 

 

堕落論・続堕落論

 

太平洋戦争の終戦後すぐに書かれた坂口安吾のエッセイです。

 

農村の美徳とか天皇制といった戦時中の道徳を否定し、「堕落」することが必要だと説きます。それまで日本人が信じてきた道徳観を否定し、堕落し、それでも生きていこうとする。そんな坂口の姿勢に勇気を与えられます。「堕落すべき時には、まっとうに、まっさかさまに堕ちねばならぬ。(続堕落論)」けだし名言です。

 

~こんな人におすすめ~

〇元気の出る本を読みたい

〇道徳は絶対に守るべきだと思っている

 

 

羅生門 蜘蛛の糸 杜子春 外十八篇

 

芥川龍之介の作品を集めた本です。芥川の作品は朝読書に向いています。なぜなら芥川の作品はすべて短編だからです。朝読書の時間は短いですが、芥川の作品なら読み切ることが可能です。

 

この本に収録されている作品のなかでは、『秋』と『トロッコ』がおすすめです。『秋』は一人の男性に思いを寄せる姉妹の話です。『トロッコ』はその名の通り、ある男のトロッコにまつわる幼少期の思い出を書いた作品です。どちらも現代小説に近い文体で読みやすいです。

 

~こんな人におすすめ~

〇毎日一つの作品を読みきりたい

〇国語で『羅生門』を読んで芥川の他の作品にも興味を持った

 

 

人間失格

 

言わずと知れた太宰治の代表作です。主人公の大庭葉蔵は幼いころから道化を演じるばかりで、他人に本当の自分を明らかにしようとしません。そんな葉蔵の破滅的な人生を描いた作品です。

 

『人間失格』は暗すぎるから嫌いだという人は少なくありません。確かに『人間失格』は暗い作品です。しかし、だからこそ『人間失格』は多くの人が心のどこかに持っている暗い部分をえぐり出していると言えます。また、美しい文章も『人間失格』の大きな特徴です。これぞ純文学と言える作品です。

 

~こんな人におすすめ~

〇本当の自分をさらけ出せない

〇たまには暗めの作品も読んで見たい

 

 

異邦人

 

フランスの作家、アルベール・カミュの作品です。ある男が人を殺して裁判にかけられるのですが、その際の彼の言動は常人とは大きく異なっています。これが『異邦人』が不条理小説と呼ばれるゆえんです。

 

常人とは異なる感性を持ちながらも、自分の生き方を貫く。僕はそんな主人公ムルソーの生き方に大きく感銘を受けました。僕がこの本に出会ったのは高校生のときですが、高校時代に読んでよかった本のトップ3には確実に入ります。ぜひ読んでみてください。

 

~こんな人におすすめ~

〇「不条理」に興味がある

〇常識や理性は正しいのだろうかと思っている

 

 

最後に

 

高校生の朝読書におすすめの本をまとめてみました。これらのなかに一冊でも皆さんの気に入る本があればうれしいです。

*1:大正時代に書かれた作品ですが、現代人にとっても非常に読みやすいです