かくのごとく、我思えり

京大生が、本の感想や勉強のことを書いていきます。

文系の学生はゴミなのか? 文系京大生が考えてみた

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はじめに

 

文系は何かと批判されることが多いです。そこで今回は、京都大学の文系学部に所属する僕が、文系に対してよくなされる批判に反論します。

 

 

文系って受験で楽してない?

 

大学受験は文系の方が楽だとしばしば言われます。ですが、受験に必要な科目の数自体は文系でも理系でも変わりません。では、なぜ文系受験のほうが楽だと言われるのでしょうか。文系を批判する人の話を聞く限り、その理由は文系科目と理系科目の性質の違いにあります。

 

文系科目のうち、国語はさほど勉強しなくともフィーリングで解くことができ、社会はただ暗記すれば良い。それに対して、数学や理科はただの暗記では習得することができない。ゆえに理系の方が大変だ。おおよそこのような主張がされています。*1

 

しかし、国語のうち、少なくとも古文・漢文は努力すれば報われます。文法や単語を知っていないとまともに文章を読むことができないからです。特に、和歌の読解は相当な知識と経験が要求されます。現代文に関しても、言いたいことはありますが、あまり冗長になるのも良くないので、それはまたの機会に。

 

社会に関しては、確かに暗記が重要な教科です。とはいえ、ただ暗記するだけでは効率が悪いです。そのため、例えば歴史であれば、出来事の原因や結果、及び、とある重大な出来事が歴史上どのような意味を持つかなどに関する理解が求められます。その傾向が特に顕著なのが論述問題です。論述問題に対応するには、その科目の深い理解が求められます。僕は大学に入学した今、世界史を勉強していますが、その理由もこの話に大きく関係があります。別に僕は世界史を勉強することで、マイナーな出来事や人名を覚えたいわけではありません。そうではなくて、法理論や経済理論ができた背景には何があるのか。その世界史的説明を理解したくて世界史を学んでいます。

 

このように、文系受験が楽というわけではありません。というか、国公立大の受験であれば、文系だろうと理系だろうと5教科勉強しなくてはなりませんしね。

 

 

文系って大学在学中に勉強してるの?

 

文系は大学の勉強が楽だと言われます。一応、文系でも勉強が大変な大学・学部はあります。法学部はその代表例で、多くの大学で法学部は単位取得が難しいです。例えば、京都大学法学部は学生の3割が留年します。しかし、全体的に見たとき、文系は大学での勉強が理系ほど大変でないのは事実です。その理由の一つに、大学で学ぶ内容自体が理系ほど難しくないことが挙げられると思います。

 

ただ、一つ言っておきたいのは、文系が学ぶ内容が初歩的になるのは仕方がない部分もあるということです。理系は、高校で学ぶことと大学で学ぶことがかなり直接的につながっています。高校数学もまともに分からないようでは、多くの理系学部ではやっていくことができないでしょう。つまり、理系は高校で初歩的なことは既に学んでいるため、大学ではある程度高いレベルのことから始められるのです。他方で文系は、高校で学ぶことが大学で学ぶことの素養にはなっているものの、直接的につながっているわけではありません。例えば、日本史や世界史を学んでおけば法理論や経済理論が生まれた背景を理解しやすくはなるものの、歴史を学んでいなかったからといって大学で法学や経済学を勉強することができないわけではありません。たとえてみれば、サッカーで実戦形式の練習をする前に、理系は基礎トレーニングとともにボールを使った実戦的な練習もしているのに対し、文系はランニングや筋トレなどの基礎トレしかしていないという状況です。それゆえ、大学で勉強する学問の基礎すら身についていません。そのため、文系の人は大学では初歩的なことから勉強しなくてはならないのです。

 

 

文系って就職できないんじゃない?

 

大学卒業後の進路に関しても、文系は批判されます。その理由の一つが、理系しか就けない職業が存在することです。例えば、医師は医学部を卒業しないとなることができませんし、文系の人がエンジニアになるのは難しいでしょう。しかし、文系の方が有利な職業も存在します。例えば、弁護士はその典型例です。確かに法学部以外の人も、法科大学院を卒業して司法試験に合格すれば弁護士になれます。しかし法学部以外を卒業した人は、法学部を卒業した人よりも1年長く法科大学院に通わなくてはなりません。さらに非法学部の人は司法試験の合格率も法学部出身者よりずっと低いです。そのため、法学部出身者以外は弁護士になるのは難しいのが実情です。他にも、裁判官や図書館司書、公認会計士などは文系が有利な職業です。

 

文系が批判されるもう一つの理由が、文系は専門性が身につかないということです。理系の人は、大学・大学院の6年間を通して専門的な知識を身につけ、それをもとに研究室で推薦をもらって就職する人が少なくありません。一方、文系の人は法律や経済、文学など、それぞれの専門を決めて学びますが、それが就職に活きるということはあまりありません。それゆえ、文系は理系より就職が難しいと言われます。

 

しかし、就職のための専門性は大学で身につけるべきものでしょうか。大学は就職予備校ではありません。就職に関係あろうとなかろうと、自分の興味に従って勉強していけば良いだけです。就職に役立つ専門性は、自分で簿記や英語、プログラミングなどの勉強をして身につければ良いだけの話です。

 

さらに言えば、確かに理系の就職時の推薦は魅力的に見えます。しかし、それは言わば保険のようなものです。つまり、理系で専門性を身につければ、多少偏差値が高くない大学でも就職できるということです。ですが、ある程度の名門大学であれば、文系でもしかるべき準備をすれば満足のいく就職できる場合が多いです。

 

 

最後に

 

途中、理系をディスったりもしました。しかし、僕は理系に対して含むところがあるわけではありません。僕らがこのような快適な生活ができるのは、理系の技術力のおかげですしね。ただ一方で、文系だからといって自分を卑下する必要もありません。大切なのは、自分が大学在学中にどのような学びをするかということです。文系大学生の皆さん、批判なんて気にせず有意義な大学生活を送りましょう!

*1:英語は文系でも理系でも入試に課されるので、今回は考えないことにしました。