かくのごとく、我思えり

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生物は遺伝子の乗り物に過ぎない/読書感想文『利己的な遺伝子』

利己的な遺伝子〈増補新装版〉/リチャード・ドーキンス/紀伊國屋書店

 

こんばんは、京大生ブロガーの工藤冬樹です!

 

僕がこの本を知ったのは高校生のときです。国語の授業で読んだ評論でドーキンスの考えが援用されていたのですが、そのときに知った、ドーキンスの「生物は遺伝子の乗り物に過ぎない」という言葉に衝撃を受けました。

 

高校生ぐらいの歳の人間にはよくあることだと思うのですが、僕はこのころ生きる意味について結構真剣に悩んでいました。成長していくにつれて生きる意味について悩むことは少なくなっていったのですが、そのきっかけとなったのがこのドーキンスの言葉だったと思います。

 

この本を読めば分かるように、ドーキンスは理論を展開していくなかで価値判断をしているわけではありません。つまり、「生物は所詮遺伝子の乗り物なんだから、はかなく卑小な存在だ」と言いたかったわけではないのです。しかし高校生のときの僕はドーキンスの中立な考えに基づいて価値判断をしました。といっても、「人間は単なる遺伝子の乗り物だから生きる意味はない」と考えたわけではありません。むしろ、「人間は遺伝子の乗り物にすぎず、ちっぽけな存在なんだから、あまり重苦しく生きる意味なんて考える必要はないんだ」と考えて吹っ切れました。

 

そもそも、太古の昔に人間が狩猟をして暮らしていたころは、誰も生きる意味なんて考えていなかったでしょう。「生きる意味が分からない」なんてのは、安全に生存できるようになった現代の人間の贅沢な悩みなのかもしれません。このようなことを考えると、ドーキンスの考えを援用するまでもなく、「人間に元来生きる意味なんてない」という考えは妥当なのかもしれません。

 

最後に申し訳程度に本書の具体的な内容を紹介しますと、オスとメスの戦略の違いという話はなかなか興味深かったです。ドーキンス曰く、オスはメスとの間に子供ができたらそのメスと縁を切って別のメスと再び子供を作るのが遺伝子的には最も賢い選択だそうです。しかしメスもそんな身勝手なオスに抵抗する戦略を持っています。それは性交の拒否です。メスはオスと接触し「このオスなら自分を捨てたりはしなさそうだ」というオスに対してのみ性交を許すそうです。

 

このことを考えると、なぜ一般的に女性がそう簡単にはセックスをさせないかが分かります。まあ、こんな複雑に考えずとも他の理由が浮かび上がりそうですけどね。

 

以上、『利己的な遺伝子』の感想でした。内容は理系的な話でしたが、生物学を専門としない人にも分かりやすいように文学的な比喩を多分に用いており、文系の僕にも分かりやすかったです。ぜひご一読ください。